008 書く場所考

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どこで書くか。

頭の中の繰り広げられる創作も、やはり書くという行為とその作業空間が必要なわけだ。昔、大音量で鳴るクラブのスピーカーの前で熟睡していた友人がいたが、そんな、どこだって寝られるという人みたいに、どこだって書けるよ、なんて人もいるだろうか。

自宅の自室(書斎)、リビング、トイレ、図書館、カフェ、ファミレス、車の中、電車の中、公園……。

小説がありがたいのは、今ならPCだけども、最悪、紙とペンがあれば、どこでも執筆場所になる。

小説を書くには繊細な感性で云々、などは言うつもりはないけれど、私も書く場所にはこだわる。こだわると言うより、書く場所は生産性にかなり影響する。

ものを書く人の執筆場所として、一番多いのはやはり自宅だろうか?

ありがたいことに、私も自宅に自分の部屋があり、書斎と言って差し支えない大机と椅子、それに本棚がある。が、私は家がダメで、ついつい他のことに気を取られて怠けてしまう。だから締切りがあるとか、余程追い詰められていないと家では書かない。では、どこで書くのか。一番書けるのはカフェ。コーヒーショップ。

そもそも小説家とカフェというのは親和性の高いもので、好一対とも言える。本とコーヒー。コーヒーと煙草。煙草と小説家。煙草は随分前にやめたけれど、とにかくそれらはぴったりで、連想ゲームのように繋がっていく。

例えばサルトル行きつけのカフェ・ド・フロール。サンフランシスコのカフェ・トリエステならケルアック。そんな文学にゆかりの深い有名なカフェもたくさんある。

いつか行きたい Caffe Trieste.

しかしカフェであればどこでも良いわけじゃなく、私にはいろいろ神経質でワガママな注文がある。

カフェなのでお客さんがいるのは仕方ないが、うるさ過ぎず、タイピングするので静かすぎず、声が反響するほど広すぎず、滞在時間が長くなるので、目立たないように狭すぎず、それも個人店ではなくチェーン店が良い。チェーン店の方が放置してくれ、長居に寛容だと思う。それに個人店で行きつけになると確実に認識されて、「何してるんですか?」となる。「いや、別に……」と逃げてもいずれ拿捕される。毎日行くと、チェーン店でも店員さんに認識されるが、まだ適度に見守ってくれる。

それから更に、空間的配置の注文をすれば、背後が壁の席が望ましい。後ろに誰かいると集中できない。もっと言えば前にもいないで欲しい。それ故に、理想なのはある程度広い店の、ちょっとデッドスペースなんかを利用した座席となる。

そんな都合のよい店あるのか? と思うかもしれないが、ある。これは内緒だが、あるのだ。

それからコスパ。やはりコーヒーが高いと困る。毎日のことなので重要。そう考えると、やはりあのチェーン店になるのだが、もうこのあたりでやめておこう。

それからカフェの他に、書く場所と言えば、サイゼリアなんかが良い。短時間ならスーパーやコンビニのイートインもなかなか。電車の中はかなり追い詰められた時。公園、良いのだが、あんまり長くいると通報されかねない。山の中、これは手書き限定だけども別の意味で良い。図書館は意外とダメで、自分のタイピングがうるさいのと、あと本が気になる。車も微妙。あと私はホテルもダメだった。

ということで、書きものをしている皆さんは、どこで書きますか?