エルマガMOOK「関西から行く 二〇二五年開運の旅」にエッセイを掲載いただきました。

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エルマガジンと言えば関西人におなじみの雑誌て、その誌面づくりはとてもセンスに溢れている。さりげなく持っているとオシャレだ。

特に私は「MEETS」が好きで、内容の充実はもちろん、とにかく誌面のデザインがずっと保存しておきたくなる格好良さだ。

そして今回のMOOK

書き下ろしスペシャルエッセイ「六甲山、修験ルートを歩く」を書かせていただいた。

https://www.lmagazine.jp/mook/MOOK6190878/

素敵な写真の表紙にも私が登場。ありがたいような、もうしわけないような。

もちろん内容もデザインもとてもいい。

内容充実。

そして巻頭には私のエッセイ。

……ちょっとこの撮影日の前日まで寝込んでいて、顔が内田百間みたいになっている。

それはさておき、このエッセイ、テーマは「開運」でもスピリチュアルに偏らず、霊場や磐座で感じる何か、にスポットをあて。ならばということで私はかねてから興味のあった六甲山の修験ルートを辿ることにした。そこで感じたこと、考えたこと、それをそのまま文章にしようと思った。

つまりどうなるかわからないルポ風のエッセイ。

半日かけて山道を歩く。23キロ。

いろいろ考えることができて、また書くことができた。私にとってもとても思いれのあるエッセイとなった。

読んでみてください。

松永K三蔵

群像1月号「本の名刺」に『カメオ』エッセイを掲載していただきました。

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「群像」には単行本になると「本の名刺」なるコーナーに自著紹介エッセイを書かせてもらえることがある。

群像 2025年1月号

その本に、作品にまつわるアレコレ。

私のデビュー作『カメオ』もいろいろ語ることがある。

インタビューで、よくモデルがあるのですか?と聞かれることがあるが、この『カメオ』には明確なモデルがいる。

私の飼犬だ。

彼とはもう10年以上の付き合いだ。

彼にデビュー作を書かせてもらった。

つまり彼がいなければ私はデビューしていないのだ。そのことは私の「群像新人文学賞優秀作」受賞のことばに書いている。「掲載・出版」コーナーから読んでいただけます。

どうぞみなさんこちらも読んでみてください。

松永K三蔵

すばる1月号「日日是好日」に1回目(全3回シリーズ)を書かせていただきました。

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集英社の文芸誌「すばる」の日日是好日はご存知だろうか?

あれおもしろい。書き手の撮った写真とともにエッセイが載る。3回シリーズのフォトエッセイなのだが、写真とエッセイがなんかいつもいい。

すばる 2025年1月号(12/14発売中)

そんな「日日是好日」に私のフォトエッセイを載せていただいた!嬉しい!

3回シリーズ。第一回は、ズバリ「山」。

西山谷の写真

『バリ山行』でも出てきた神戸市東灘区にある西山谷に久しぶりに行って書いた。三年振りだろうか、、、。小説を書いていた時、やはり西山谷に来ていたが、その比較をそのままに書こうと思った。

もちろん写真は西山谷の写真。

なんだかアウトドア雑誌みたいになった。

あと、山で妻鹿さんのカップ麺残り汁おじやをやった。その写真もある。

妻鹿メシ

どういうことで、読んでみてください。

松永K三蔵

山野辺太郎さん新作、12/6発売!『大観音の傾き』帯を書かせていただきました。

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『大観音の傾き』山野辺太郎著

帯を書く。つまりは新作のキャッチコピーだ。とても重要な仕事だ。しかも敬愛する兄さん、山野辺太郎さんの著作。

責任重大。書店で本を見た人はタイトル、著者名、そして帯を見るのだから。私もそうだ。

帯には、その本の魅力とウリが書かれているから。練りに練った果てに僅かに抽出されたエスプリが匂い立つようにあるのだ。

さて、今回私はそれを作る側だが、気の利いたことを言えるだろうか。

山野辺さんの『大観音の傾き』は河北新報の連載小説だったので、私は途中まで読んでいたが、ゲラをいただき改めて読み、一気に通読。

結論から言うと、この「仕事」はイージーだった。

なぜなら、読後、いや読んでいる最中から溢れでてくる。エスプリが、私の想いが。気の利いたことを考えるよりも、ありのまま書きたいと思った。もちろんいろんな考察はできる作品だ。山野辺さんはそのユーモアや抜け感に、遠大な企みを韜晦する作家だが、そういうことよりも、ただ、私が感じたままに。

泣いた。泣いたよ。

読んでほしい。そう思う作品を読ませていただき、また帯を書かせていただいたことに大観音。

松永K三蔵

043 ウェイシュエンさんとの約束。『カメオ』12/12単行本発売。(お知らせ×日乗)

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私のデビュー作、「カメオ」の単行本が12/12、ついに刊行される。

大感謝。感無量。やはり小説を書いている者にとってデビュー作というのは特別で、それは死ぬまでついてまわる作品なのだ。ま、その作品が「カメオ」という変なタイトルなのだから、私らしいと言えば私らしい。

白い本が好きなので、私のリクエストで、白い本にしていただいた。

でも一番のリクエスト、いや、絶対に譲れないのは表紙の装画。そう、このウェイシュエンさんの、この犬の絵だ。表紙は絶対にこれにして欲しかったので、これでお願いした。

これは足掛け4年越しのウェイシュエンさんと私の約束だからだ。

文芸誌の「群像」に私のデビュー作として「カメオ」が掲載された時、扉絵として送られてきたのが、このウェイシュエンさんの犬の絵。

私は笑った。最高だと思ったから。私もはっきりと具現化できていないカメオがそこにいた。

カメオの可愛らしさも、奇妙さも、面白さも現れていると思った。

掲載されて、すぐに扉絵を選んでくれた装丁家の川名潤さんにお礼のメールを送った。この絵でとても面白そうに見えるからだ。実際、この扉絵で読もうと決めた人もいたようだ。なんだか小説とこの絵が合わさって、ようやく作品が成立するように感じるほどぴったりだと思った。

そうして私は、この絵を描いたウェイシュエンさんにメールを送った。ウェイシュエンさんも扉絵を喜んでくれていること、お互い犬を飼っていることなどを話した。そして私は、もし単行本化されたら、是非ウェイシュエンさんのこの絵を表紙に使わせてほしいと伝えた。

しかし「カメオ」は単行本にはならなかった。

群像新人文学賞優秀作。「本にするには分量が少ないので……」ということだったが、優秀作(佳作)だったということもあるだろう。その年の大賞は二作。本を出し、PRにはそれで十分だったのかも知れない。

すると、この本を出すのには、とにかく次を書いて、セット。いや、併録だと「カメオ」を表紙にできるのだろうか……。しかし、とにかく次を書かないと「カメオ」の書籍化もない。今はもう「カメオ」の書籍化のチャンスは逃した。だから次を書いて、いつかデビュー作にも興味を持ってもらえるようになるしかない。「カメオ」を単体にするならば、それしかない。

ウェイシュエンさんの表紙で「カメオ」を本にする。これはひとつの私の目標になった。発表時では書籍化できなかったが、もしかするともっと良いタイミングがあるのかも知れない。私は楽天家である。

しかしそこからが長かった。1年、2年、月日は経って私は藻搔いていた。アテはなかった。ただ山を舞台にした、ボツになった小説を性懲りも無く、編集者に相談もなく勝手に改稿し、改稿し、進めていた。

そんな折り、ウェイシュエンさんの個展が私の住む街、西宮市にやってくるという。行かねばならない。そう思った。……しかし正直アテはない。あの犬の絵で「カメオ」を本にする。その約束は難しいのかも知れない……。

でもとにかく私は家族を連れてウェイシュエンさんの個展に行った。

甲子園駅の近くのギャラリー。とてもかわいい個展を堪能させてもらい、そしてウェイシュエンさんと初対面。ご挨拶して、写真を撮らせていただいた。

ウェイシュエンさんが手にしているのが、「犬の絵」の原画。

2023年

ウェイシュエンさんは台湾ご出身で、日本に来てイラストレーターとして活躍されている方だ。

そして私は性懲りも無く、また言った。「いつかこの絵で「カメオ」を本にしますよ」と。

しかし、実はアテなど何もなかった。小説を書いてはいたが、私は二年近く何も発表していない。発表の見込みもなく、ただ山の小説を書いているだけだ。

「--今ね、山のお話しを書いてますから」痩せ我慢にそんなことを言った。「ウェイシュエンさんの絵で、カメオ書籍化する為の第一歩ですから」

道筋の見えないハッタリだったが、しかしそれでも私のひとつの目標だった。

そして私の書いていた「山のお話」は『バリ山行』になった。芥川賞の候補になって慌てて書籍化に動いたので、「カメオ」は併録されず、『バリ山行』単体でいうことになった。私は内心、ホッとしていた。

芥川賞の選考会で『バリ山行』が賞に選ばれて、私は講談社から、会見をする為に帝国ホテルに向った。

「行っといた方がいいですよ」

会場の裏手で出番を待っている間、そう言った群像の編集長と一緒にトイレに行った。一緒に歩きながら編集長が言った。「『カメオ』出せますよ」

−−やった。やった、ウェイシュエンさん。やったで。もちろん表紙はあの犬の絵だ。

私は芥川賞の会見の前、帝国ホテルのトイレで用を足しながら私はそう思った。

そうしてそれから約半年後、ついに本になった。最高のタイミングじゃないだろうか? 芥川賞受賞第一作だ。ウェイシュエンさんの「犬の絵」で『カメオ』は本になった。やっとこれで私の『カメオ』が完成したのだ。

帯は新人賞の大恩人、町田康先生に書いていただいた。

皆さん、よろしくお願いします。

2024年12月12日頃より全国の書店さんに並びます。

松永K三蔵

ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR2024 松永K三蔵『バリ山行』参戦。

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もう年末。年末と言えば格闘技だが、私も格闘技は滅法好きで、もっぱらボクシング贔屓だが、もちろんヴァーリトゥード、総合格闘も大好きだ。

そんな総合格闘技みたいなのがこのダ・ヴィンチのBOOK OF THE YEARじゃないのか?オールジャンル横断の。2001年からってなかなか歴史がある。

作品を出す以上は比較されるのは仕方ないけれど、例えば純文学は純文学と「月評」などで比較される。しかしまさかエンタメやミステリ、SFとやりあうことになるのは、なかなか「タフ」な状況だ。エンタメの人たちってバケモンみたいな筆力でガシガシ書くイメージがあってスゴい。

とにかくランキング入れてもらえただけでもほんとありがたい。

すごい楽しそうな誌面。

こうやって読書を、本を盛り上げてくれるのは、書き手としても読者としてもほんとありがたい。「ダ・ヴィンチ」さん、ありがとうございます。最近いろいろお世話になっております。

私の『バリ山行』のランキングは誌面で確認してほしいのだが、注目作家としてインタビューを掲載していただいた。こちらも皆さん読んでみてほしい。

もうすぐ、『カメオ』(12/12頃発売)もでます!

皆さんどうぞよろしくお願いします!

松永K三蔵

西宮市文化芸術特別賞をいただきました。

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小さい頃から育った街、そして今も暮らす街、「たのしみや、にしのみや」、そんな西宮市から文化芸術特別賞をいただいた。

小さい頃の私がそんな「未来」を聞いたら信じないだろう。私は走るのと絵を描くのが好きな、本など読まない子どもだった。

中2病の時にドストエフスキーを注射され、悪化したまま大人になった。好きな本を読み、書きたいことを書いてきた。それだけだ。文化芸術特別賞なんて柄じゃないが、大好きな街、西宮がそう言ってくれるのだからありがたい。

それから記念にいただいた西宮のマスコットの「みやたん」ぬいぐるみ。

この「みやたん」、すごく手触りがよい上質な「みやたん」だ。

そんな西宮市は来年市制100年!

いろいろイベントもある。私も少し参加させていただく予定です!

西宮のみなさん、どうぞよろしくお願いします!

松永K三蔵

042 帰郷。“三蔵”、茨城県より特別功労賞を表彰されて、「いばらき大使」になる。(お知らせ×日乗)

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茨城に帰った。私の〝郷里〟である。

ペンネーム「三蔵」は私の母の父、つまり私の祖父の名前で、私は今、その名前を受け継いで、(二代目)三蔵として生きている。母の、そして祖父三蔵の郷里は茨城であるから、するとやはり私の郷里は茨城なのだ。

私の創作人生の中で節目となる芥川賞受賞を機に帰郷するのは必然だが、忙しさにかまけてモタモタしていると、茨城県が、特別功労賞の表彰をしてくれるという。そしてなんと、私に「いばらき大使」を委嘱したいと言ってくれた。なんというありがたいお話だろう。

茨城県。県知事。時代が時代なら、水戸藩だ、藩主から播磨国の浪人風情の私に免状をくれるというのだから俄然、胸が高鳴る。馬ではないが、新幹線に乗って常陸の国に向かう。祖父や、母への恩返しにもなるというものだ。

日立の祖父の家を守ってくれている叔父と叔母がわざわざ水戸駅まで迎えに来てくれて県庁まで連れて行ってくれた。

まずは「いばらき大使」の任命式。知事室に案内される。大井川知事はまさにリーダーという感じで、爽やかでありながら風格があった。

知事と少し歓談させていただき、パリ五輪、フェンシング団体金メダリストの永野選手とともにいばらき大使を任命される。(控室では私はミーハー根性丸出しで、永野選手にねだって金メダルを触らせてもらった。優しい永野選手は私の首に金メダルをかけてくれた。これがすごく重い! 大変貴重な経験をさせていただいた)

写真は茨城県のXより

そして県の表彰式。県に功績のあった多くの方と一緒に表彰を受ける。記念写真。茨城県に「三蔵」の名前が刻まれたのだ。

その後、祝賀会をしていただいた。

 その足で、関西から遠くはなれた水戸の地でありながら私の『バリ山行』を、いつも売り上げ上位に押し上げてくれていた「丸善 水戸京成店」さんにお伺いした。

入り口のいい場所に『バリ山行』を置いていただいている。店長さんもとてもこころよくお迎えいただき、また百貨店の店長さま、宣伝の統括の方も呼んでくれた。感謝。

そしてお土産に上等な「干し芋」までいただいた。幼いころ、私もよくこれを齧った。ストーブの上で炙って、柔らかくして食べるのだ。

(あまりなじみのない妻が口にして、その美味に驚いていた。しかもヘルシー)

翌日、私は祖父のお墓を訪ねた。ついに訪ねた。

私は生来楽天家で、しかも忘れっぽく、恨みも含めて忘れてしまう。その時々を楽しんで暢気に生きているので、苦しいことがあったとしてもすぐに忘れてしまう。

なので苦節云々ということは正直言えないのだが、祖父のお墓の前に立って、フッと息を吐くように肩の力が抜けて思った。さすがに長かった。

二十五年以上。中学の時、母に文学というものを与えられ、〝何か〟を書き始め、母が亡くなった時、その墓前に小説家になることを誓った。それから二十五年以上。やはり長かった。祖父の墓の前に立ちそのことが思い返された。思えば小説を志したが故に追い詰められ、苦しんだこともあったけれど、小説があったからそこ、向かう場所はひとつ、強く明るく生きていけた。母が愛した祖父の名を受け継いで、今、それを名乗り、私は、私の本名でなく「三蔵」として認知されている。祖父は喜んでくれているだろうか。

お墓の前に芥川賞正賞の懐中時計を置く。日立の街の高台に祖父の墓所はある。この街を書こうと思った。いつか書かねばならないと思った。

それから日立の叔父の家の近く、館内の飾りつけ用にと、色紙を持って、南部図書館にもお邪魔した。

『バリ山行』は貸し出し中だと言うが、入り口近くに宣伝のPOPを大きく飾っていただいている。名乗ると、司書の方たちが大歓迎してくれた。幸い平日でそれほど混んでいなかったので良かった。

 南部図書館にはマスコットがいる。芝生のような鮮やかなグリーンのクジラだ。「くじらちゃん」と言うらしい。潔いほどそのままだ。

私も多くの本を図書館で借りて読んできた。母から渡されたドストの『罪と罰』もやはり図書館で借りたものだ。図書館には感謝しかない。

本は売れてほしいが、それよりも私はひとりでも多くの人に私の作品に触れてもらいたい。(読んで買ってくれるかもしれないし……)

この表彰状は叔父にお願いして叔父の家に置いておいてもらうことにした。祖父の写真とともに。

私の茨城への里帰り。ここで私の文学の旅の区切りは、ひとつついた。またここからは新しい旅だ。

ところで、この県庁訪問が決まってからずっと気になっていたことがあった。茨城県の県章のこれ。

このぐるぐるの県章。アイツに似てる。ポケモンの、名前はわからんが、いた。調べた。

そうコイツ。ニョロゾとか言うらしい。おたまポケモンらしい。

 茨城県の県章を見るたび思い出すのだ。私だけだろうか。

松永K三蔵

週刊現代に石田夏穂さんの『ミスター・チームリーダー』の書評を書かせていただきました。

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「週刊現代」さんの「日本一の書評」と言うコーナーで石田夏穂さんの『ミスター・チームリーダー』の書評を書かせていただきました。

ボディビル×中間管理職お仕事小説なのだが、筋肉原理主義者とも言える後藤という主人公がとんでもないのだ。

いやー何かに傾倒するってのは怖いですねえ。

ということで、本も書評もよろしくお願いします。

松永K三蔵

新潮「波」12月号に角幡唯介さんの最新刊『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』の書評を書かせていただきました。

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いや実は、この仕事、一度断ったというか、編集部に確認した。「本当に私でいいんですか?」

“角幡唯介”といえば高名な探検家だ。北極圏を歩いたり、チベットの未踏の谷間に挑んだりそんな人の新刊の書評に相応しい人はもっといる。服部文祥さんとか、荻田泰永さんとか……。あ、もしかして勘違いしているのだろうか?

一丁前に「山と渓谷」とかに登場して、めちゃくちゃ登ってる感を出してしまったから。純文山岳小説と銘打った、芥川賞受賞作『バリ山行』を書いた松永は、アマチュアながらも、相当な登山家だと。

違う。私はちょろちょろっと自宅近くの六甲山を彷徨っていたに過ぎない。それも5年くらい前から。つまり素人だ。

ええんか? ええのんか? と「波」の編集部さまに確認したが、素人目線でかめへんと言う。ほんなら、全編、「すげー、すげー、すげー」で終わっても知らんで、ほんまに。と思いながらゲラを送っていただいた。いや、内心はすごく、すごく読みたかった。この地図なし登山、しかも人里離れた羆がうろつく日高山脈。狂気の沙汰の山行記。めちゃめちゃオモロそうだ……。

いやほんと、素晴らしかった。奇しくも、『バリ山行』の覚醒後の波多とかなり近い感慨を書かれてある箇所があった。もちろん角幡さんのそれはもっと、もっと、何重も深淵なところからのものだけれども、私とてもその上澄を少しばかり感じられていたのかと思い、嬉しかった。

と言うことで『波』は、な、なんと、100円で買えるのだ。 そして、『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』を買って読んでください。

書評、webで読めます!

https://www.shinchosha.co.jp/book/350232/#b_review_item_202412_03

松永K三蔵