9/29 読売新聞 夕刊「ひらづみ!」書評 梶原阿貴さん『爆弾犯の娘』

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名探偵コナンの脚本を手掛ける脚本家の梶原阿貴さん。そして映画『桐島です』の脚本家でもある。連続企業爆破事件に関わった桐島聡の潜伏生活を追った映画だ。梶原さん自身と桐島の共通点……。

それは梶原さんにしか書け得なかった脚本。

それがよくわかるのが本書だ。

これは梶原さんの自叙伝だが、それは「普通」の自叙伝ではない。

実在の人物たちだが、かなり個性豊か。

決して楽な生活、暮らしではないが、なぜだか明るい。そしてわかって爽やか。それは強さだろう。

物語としてとても面白く読めるし、梶原さんの脅威の記憶力! あの昭和時代が克明に描かれる。それも読みどころ!

ぜひ読んでみてほしい。

松永K三蔵

051 3/31 読売新聞 夕刊「ひらづみ!」書評 勅使川原真衣さん『働くということ「能力主義を超えて」』

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三回目の読売新聞夕刊書評は勅使川原真衣さんの『働くということ』だ。実はこの本、“働く”ということで、前々から気になっていた。

それがとある出版社の代表の方を通じて、勅使川原さんの講演(女性の為の講演で男は私だけだった)を聴く機会があって、また直接お話しを聴くこともできた。

「能力主義」。つまりこれは組織に基準を強いられた「能力」だ。その基準。ところがこの基準は、意外にも曖昧なのだ。「デキる奴」がひとり歩きしている。もちろん仕事のバリエーション、そこで求められる能力もバラバラだ。そしてそのマネージメントは驚くほど雑なことが多い。

そういう問題点を踏まえ、それを超える組織開発。勅使川原さんはそれをやっているという。すごい。「抵抗とか反発とかないですか?」「あります」やはりあるのだ。かく言う私もそんな「能力主義」にどっぷり浸かったオジサンだ。会社員時代に勅使川原さんがコンサルに来たら、たぶん(とりあえず)反発しただろう……。

でも本当にそれでいいのか? 自分の経験則がそんなに大事か? 本当にそのままでいいのか? ベテランこそ本書を読んで問い直して欲しい。

松永K三蔵