本の雑誌チームさんから大変熱く、『バリ山行』を推していただいている。
“ただひたすらおもしろい!”
ありがたい。「超おもしろい文学作品だ」とまで言ってくれている。読みのプロが。
私は、そう、オモロイ純文運動をしているのだから、まさに面目躍如だ。
ありがとうございます!
松永K三蔵
本の雑誌チームさんから大変熱く、『バリ山行』を推していただいている。
“ただひたすらおもしろい!”
ありがたい。「超おもしろい文学作品だ」とまで言ってくれている。読みのプロが。
私は、そう、オモロイ純文運動をしているのだから、まさに面目躍如だ。
ありがとうございます!
松永K三蔵
ええんか? ほんまにええんか?
という戸惑いは正直あった。『山と渓谷』と言えば登山界の専門誌だ。出てくる人は世界的な登山家だ。山野井妙子さんや、角幡唯介さん‥‥‥。とにかく凄い。
そんな素晴らしい山岳専門誌に私のような、ひとり、ちょろちょろと低山を我流で歩いていただけの輩が出ていいものだろうか。
小説は書いた。山の小説。芥川賞もいただいた。が、それは文学界の話。山岳界とはまた別だ。
本格的に山をされている方に、私の山の小説はどう読まれるのだろう。山の描写や山行の様子‥‥‥。不安はあった。「まぁまぁよく書けてるよ、素人にしては」そうお目溢ししてくれれば御の字だと思っていた。
ところが不思議なこともあるもので、山の“ガチ勢”でもあるヤマケイの編集部の方からご感想をいただいた。薮山の描写、登山者の心理も含め、大変に熱いご感想だった。それが今回の記事、インタビューに繋がっているわけだが、私は嬉しさよりも安堵。そしてやはり不思議に思った。
私がひとり彷徨い歩いていた山も、いつか上級者がのぼる高山にまで繋がっていたのだろうか。いや、でも低山や高山、そんなものも我々人間の勝手な分類で、本来、道と同じく、「そんなものはない」のだ。名前すらもない。そこにただ、山があるだけ、なのだ。
ヤマケイの編集部の方々と六甲山を歩きながら、いろいろとお話しさせていただいた。とても楽しい山行だった。山の話はもちろん、文学の話も聞いていただいた。好き放題喋り散らかしたが、ライターさん、編集者さんが素晴らしい記事に仕上げてくれた。本当に感謝。是非読んで欲しい。
そして写真には、作中で登場する、まさに「アレ」が写っている。うん、アレだ。マステも出てくるけど、アレだ!それは買って見てね。
更に更に、「今月の本棚」では辺境クライマーのリアル妻鹿さんみたいなけんじりさんこと小阪健一郎さんが「バリ山行」の書評を寄せてくださっている。激アツの記事だ。
ヤマケイさん、本当にありがとうございます。
ちなみに私の記事はさておき、今月号は特に「買い」だ。登山アプリや、今更聞けない読図のまとめ、そして登山者永遠のテーマ、レイヤー特集など、めちゃくちゃ良い内容!是非、本屋さんで。
最後に
今回、K2で事故に遭われた平出和也さん、中島健郎さんのお二人に、心よりお悔やみ申し上げます。そしてお二人の素晴らしい実績とそのお仕事に敬意とともに感謝をお伝えしたいと思います。
松永K三蔵
大阪梅田駅がまだ「梅田」駅だけで、「大阪ってどこですか?」と旅行者を混乱に陥れていた頃からはもちろん。ずっと、私の小さな頃からずっと、大阪の本屋さんといえば紀伊國屋だった。
それから隣にある巨大モニター「ビッグマン」。ケイタイ、スマホもない時代、待ち合わせ場所と言えばここだった。「ビッグマン」を知らないという関西人がいれば、その人はモグリだ。
そんなこんなでその大阪の書店の聖地とも言える紀伊國屋書店で、サイン会をさせていただくことになった。ありがとうございます。
大変感謝。
実は私はサイン会というのは、するのもちろん初めてだが、見たことも行ったこともない。
どんな感じなんやろか。ということで勝手な空想でまた絵を描いた。
ご予約、お問い合わせはこちら👇
日時
2024年9月7日(土)14:00〜
場所
読者の皆さん、ご興味持っていただいた皆さんにお会い出来るのを楽しみにしております。
そしてお越しいただいた方には
作中で登場する㊙︎アイテムの「一部」をプレゼント!
あくまで「一部」なので、期待を膨らませ過ぎないでくださいね😅いや、一部だからいいのかも。
それでは皆さん、よろしくお願いします!
松永K三蔵
『バリ山行』の書評を書いていただきました。ありがとうございます!
お知らせが遅れてすみません。
WEBとかでも読めるのかも知れません。
よろしくお願いします。
朝日新聞 評者は山内マリコさん
「超高解像度で男性の、会社員の世界が瑞々しく描かれた、令和6年上半期芥川賞受賞作」
日本経済新聞
「会社員として働く著者が、サラリーマン生活の苦悩に寄り添いながら、未知なる自然の脅威や美しさを活写した。」
まず受賞作の『バリ山行』だが、この山行を(やまゆき)と読んだり、(さんぎょう)と読んだり、果てはその読みの変換からか?『バリ三行』となっているSNS投稿を見たりする……。正確には(さんこう)です。混乱させて申し訳ない。登山界隈では当たり前のこの単語も、どうも世間一般では通じないらしい。
ちなみに、たまにSNSで『パリ山行』となっていたりするのは、パリ五輪の影響だろうから、これは仕方ない。それと老眼……。
芥川賞を受賞したことで、ありがたいことに私のペンネームも少しは世の中に広まった。多くの人が目にすることになり、およそ芥川賞作家のペンネームとも思われぬ、このアルファベット入りの奇妙なペンネームに面食らい、「なんて読むの? コレ」と混乱させてしまっているらしい。
ニュース原稿を読み上げるアナウンサーも困惑し、こんなやりとりもあったのかも知れない。
「これさ、このKってなに? 誤植じゃないの?」
スタッフ「いえ、Kですね。ありますK」
「え、ホント? じゃあ、これケイザブ……、ケイサンゾウ?」
スタッフ「ミドルネームらしいです」
「ん? ミドルネーム?」
スタッフ「松永、ケイ、サンゾウらしいです(困惑)」
つまり佐藤B作みたいな感じで、これを続けて読むと少し違う。ケイサンゾー、ではない。
私はあくまで、三蔵。ケイは別。だから、ケイ、サンゾー。
ちなみにペンネームは家族の名前の組み合わせ。「三蔵」は私に文学を与えた母の父、つまり私の祖父の名前。Kは家族のファーストネームで最も多かったイニシャル。
母と私のエピソード↓(芥川賞、受賞のことば)
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h8459
そうか、わかった。それはわかった。そんならばお前、ミドルネームならミドルネームらしく、「・」を入れるべきじゃないのか? 藤子・F・不二雄みたいに。
私もそう思う。いや、そう当初のペンネーム(群像新人文学賞応募時)は松永・K・三蔵だったのだ。
優秀作を頂き、デビューが決まったけれど、すると編集部から、そのペンネームはどうなのか? と「相談」があった。ちゃんとデビュー後のことも考えてくれているのだ。イロモノと思われるんじゃないのか等……。(実際イロモノなのかも知れないが……)
群像文学新人賞は歴史ある賞だ。村上龍、村上春樹をはじめ、高橋源一郎や阿部和重、村田沙耶香など、偉大な書き手を輩出してきた。その純文学の賞にそんなふざけた名前はどうなのだろうか?
しかし「K」は納めきれなかった家族たちの名前、それを外すのは忍びない。それに目立つし、純文学史上ミドルネームは初だろう。
私は抵抗した。かのアメリカのロックバンドのKISSは、デビューする際にあのメイクで演ることをレコード会社から大反対されたが、メーク姿で売れてから、今度はメークを止めると言うと、更に激しく反対されたそうな。そんなエピソードをメールで書いて編集部に送った。生意気な奴だ。
とにもかくにも私はペンネームを再考した。
松永・K・三蔵。ちょっと長いか?
と、そこで私はあることに気づいた。いや、あるものに気づいた。いる。いるのだ。いや、見ている。こっちを。見覚えのある、あの目が。
そう、ミッフィーちゃんだ。オランダの絵本作家ディック・ブルーナのミッフィーちゃんが、こっちを見ている。
松永・K・三蔵。
松永(・K・)三蔵
松永(・×・)三蔵
松永・K・三蔵
一度見えはじめると、もはやミッフィーちゃん(・×・)にしか見えなくなってきた。
あ、これはマズい。私は純文学作家だ。シリアスなものも書く。そこにミッフィーちゃんが出てくるのはマズい。それに、ブルーナ事務所と面倒があっても困る。
そうして、私は「・」を外し、「松永K三蔵」になった。それで何の解決にもなってはいないが、編集部も、多少私も折れたと思ってくれたのか、じゃあ、それで行こうということになって、たぶん日本文学史上初のミドルネーム、アルファベットの小説家の誕生となったのだ。
そしてKISSのメイクを取るように、「松永三蔵」では面白くないと思うのだ。松永K三蔵、やっぱりこの名前が良いと思う。
おしまい
若菜晃子さんが『すばる』で書評を書いてくれました。若菜さんは神戸のご出身で、山と渓谷社の編集者というキャリアを持つ方。すごいプレッシャー。大汗。
そして『小説すばる』では、大ベストセラー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が話題沸騰の三宅香帆さんの連載書評「新刊を読む」で、お取上げいただきました。
いずれも素晴らしい評で、ほんとうにありがたいお言葉で、全く恐縮ですが、皆さん是非読んでいただければと思います。よろしくお願いします!
高級誌なんて言い方は日本ではあまり馴染みがないのかも知れないが、しかしそれをあげるとするなら問答無用で「文藝春秋」だろう。
私も見本誌を見て、改めてその佇まいの良さに見惚れた。グラビアのセンス、記事、その充実。そんな雑誌に私の小説が載る。ありがたいことだ。
そんな「文藝春秋」は文学好きの方にも非常に高コスパ。なんといっても今回であれば芥川賞二作丸々よめて、更には著者のインタビュー、受賞のことば。
更に楽しみなのが、芥川賞の選評。これがおもしろい。なんと言っても当代一の作家たちが作品を巡って話し合い、考察し、選評書くのだから、面白くないわけがない。おもしろくなくなくなくない。(あってるか?)今回は場外乱闘だったが、詠美(センセイ)節も健在。
選評についてはまた別項でとりあげる。久しぶりに「日乗」とかで。
これは新人賞で同期の石沢麻依さんもされていた企画だけれど、すると比較対象が石沢さんってことになると結構辛いものがあるが、私はうまく答えられただろうか。15も問いかけていただき、ありがとうございます。
その石沢麻依さんの寄稿や、同じ大学出身の井戸川射子さんの創作。
今月も充実の内容の群像。
みなさん、どうぞよろしくお願いします!
松永K三蔵
週刊誌!に載せていただきました。主な読者層はやはり現役世代のサラリーマンだろう。つまり私だ。今回久しぶりに買ったけれど、なるほどあれこれ気になる記事が並んでいる。
紹介していただいた『バリ山行』は山の小説だが、サラリーマン小説でもある。というかかなりサラリーマン小説だ。組織の中で働いて、奥歯を噛んだ経験のある方なら小説に出てくるエピソードに共感していただけるのではないだろうか?
え? それ俺の責任? なんて理不尽なことに巻き込まれるのは日常茶飯事で、割り切って、ドライに相手を切り捨てることもできるけれど、ふと見るとその目線の先に、これまた別の立場で理不尽な目に遭っている取引先の男……。そんなやるせないことはいくらでもある。
会社の方針の不合理さ(いや、たぶん意味はあるんだよね)しかし末端サラリーマンにはわからない。ブルシットジョブなんて思えるバカバカしい業務。
それでも、それでも生きていく。モヤモヤも苛立ちも引きずって山に入る。その先に私たちは何を見るのだろう。
ご一読を!
もののけ姫みたいなタイトルだが、記事のタイトルなので私が決めたのではない。(「山」と「まち」に生きて)
「お仕事小説」という言葉に私は実は違和感があって、社会人として生きていたら、たいていは仕事とか会社からは逃れられなくて、またそれになんの悩みも不安も抱かず、語るべきこともない人なんているのだろうか?
なんてことを思う。だからテーマがなんであれ仕事は絡む、生活は絡む、だから共感するんじゃないのだろうか。そしてそんなものへの反撥も。
ということで、皆さんどうぞ読んでみてください。