エッセイ「文学のトゲ」が群像2023年6月号に掲載されました。ちょっといろいろあって、お久しぶりの掲載です。

短いエッセイなので、皆さん良かったら読んでみてください。
エッセイ「文学のトゲ」が群像2023年6月号に掲載されました。ちょっといろいろあって、お久しぶりの掲載です。
短いエッセイなので、皆さん良かったら読んでみてください。
Amazonで来月8月号、各文芸誌の情報が出始めた。そろそろ次月号にバトンを渡す頃合いだろう。ということで、このあたりでまとめ。
デビュー作掲載にあたっては担当編集者、編集部、校閲部、たぶん他にもいろいろあるんだろうけど、まず改めて御礼を述べたい。本当にありがとうございました。
掲載するまでの中で感じたのは、チーム。例えば私がピッチャーをさせて頂いて、皆さんが守備。担当編集者はキャッチーかな? (私が投げた甘い球がカコーンと打たれたようなミスも、校閲の方がしっかりと捕球してくれて、ドンマイなんて親指を立てているの様子がゲラを通してみえた)或いは私がボクサーで皆さんはセコンド。F1のピットイン。そんな手厚さも感じた。
そんなサポートの中から作品の扉絵が出て、あれほど素晴らしく作品を引き立ててくれる扉絵を私は見たことがなかった。事実、あれに何人かの方は反応されており、実際にちょっと読んでみようとなった筈だ。
まだ1ミリたりとも読んでないんだけど間違いないと思うから先に言っておくね。群像7月号に掲載の松永K三蔵さん『カメオ』。めちゃくちゃおもろいわ。 pic.twitter.com/e3BRrQ4Epb
— 生首ディスコのドレスコード。 (@discodresscode) June 28, 2021
「カメオ」掲載の群像7月号が発売されてから一ヶ月弱。周辺や、SNSやネットなど数多くの感想を頂いた。感謝、大感謝。
まずは「面白い」と言って頂けるのは、嬉しいと言うよりは、ホッとする。貴重な時間を割いて読んで頂くのだから、とにかく純文もオモロくなければ、なんてことを私は思う。
感想というのはありがたいし、そしてまた読んでいてとても愉しい。
改めて思うのは、批評(感想も含め)はやはりクリエイティブなものだということ。そこには読む人の個性がすごく出る。感想を比較すると、その人の人となりが見えるようだ。
文学は文章芸術でなく、想像芸術なので、その実体が顕れ、完成するのは、紙の上でなく、読み手の頭ン中。そしてそれは無限に広がる世界だ。
著者の意図を超え、考察の底を破って更に掘り、鉱脈を探りあてる。言葉の中にシグナルを光らせて繋ぎ、新たな座標を元に地図を、あるいは星座を描いて、その物語までも–−。そんな解釈や批評を読んでいて、参りましたー、なんて思うこともしばしば。
「カメオ」に、他者との距離感に注目する人や、移っていく名前を「憑依」と見て怖さを発見する人。胸くそ悪さ。自分勝手な要求のムカつきを感じる人。不条理。人間のエゴ。愛おしさ。繋がり。疾走感。人間の地図の外。言葉と言葉の間隙。カタルシス‥‥‥。
読んで頂いた方の見た、オリジナルの世界。その拡がりの豊かさに感動した。ほんとありがたい。
それから文芸時評。
6/30の読売新聞の朝刊「文芸月評」に取り上げて頂いた。
新聞記事だけど、やっぱり著作権の関係があるようで、載せられないのが残念。転載の利用申請ってのがあったが、これがメンドイ。メンドイし何かお金がかかりそうなので諦めた。すまん。
くっそー、何とか雰囲気だけでもみんなに伝えられへんやろか、と身をふるわせて呻吟しておったら、ちょうど良い感じのが撮れたので載せておく。
#松永K三蔵 なども取り上げられてます。買いました。 「#カメオ」 #群像
— 松永K三蔵 (@M_K_SANZO) June 29, 2021
ありがとうございます。 https://t.co/62qSq9S0dV
「和解」というキーワード。また「クライマックスのすがすがしさに、不器用に生きる人間を肯定したくなった」という締めくくりで、ありがたい評だった。
因みにラストに関しては私に聞こえてくる範囲では肯定的なのだが……。
それから、同じ群像新人賞出身の文芸批評家、荒木優太さんの「文学+web版の文芸時評6月」にも取り上げて頂いた。これは無料で読める。
実はこの批評には、少し訂正というか、注釈をTwitterでさせてもらった。犬は肉を残して逃げた、ってことになっていたが、いや完食したのだ、と。
「カメオ」取り上げて頂きました。ありがとうございますU^ェ^Uサイコロ肉は残さず完食したんだが‥‥‥(ポケットの中のか!?)
— 松永K三蔵 (@M_K_SANZO) June 29, 2021
『文學界』から干されたオレがなぜかまた文芸時評をやっている件について(第一回)|文学+WEB版 @bungakuplus #note https://t.co/eVrVTjJOAb
犬は肉を残したか、残してないか問題。(どっちでもええわ! という声が聞こえてきそうだが)指摘の箇所を再読したが、やはりそう読ませる記述もないなと。ん? あ、いや、しかしポケットの中にはサイコロ肉がひとつ残っていた。(それか!)
しかし私がそれをTwitterで注釈すると、荒木さんはすぐに記憶違いだったと発信下さった。
しかし、やはりそれは読みの範疇だろう。これは私が妙に物分かり良すぎるというわけじゃなく、これもまた批評の妙だと思う。
右と書いて左と読まれたら誤読だけれど、この場合はそうじゃない。いや、確かにいるのだ。モデルとなったウチの飼い犬は、飼い主に似てとても弁えた犬なので、あまりそういうことはないが、犬によっては、ペットフェンスを押し倒し、ポケットの中のエサに跳びかかる乱暴なヤツもいるのだ。ほんとに。改めて批評によって、犬の幅が広がったわけだ。これもまた批評の面白いところ。
「在野研究者」を掲げている荒木さんには以前から興味があった。なぜなら小説家(を目指している人も含め)のほとんどが「在野」だということ。みんなたいてい生存する為に何かしら文筆以外のワークをして、残った時間で書いている。
下着まで汗にまみれたり、機械油に手を汚し、ブルーライトを浴び、車で走り回ったり、罵詈雑言を浴び、或いは逆に浴びせる立場だったり。ま、とにかくいろいろやって、そんでもって書いてるわけだ。
今は建築関係の仕事をしている私も、だいたい塗料やシーリングに汚れた作業着で、毎朝仕事前にコーヒーショップで書いている。以前も今もそれは変わらない。在野。
昨日今日出てきたド新人で、ちょっと雑誌に作品が載っただけの微妙な存在の私は、そりゃもちろんそうなんだが。–−−なんか話がズレて来た。ま、日記だから良いだろう。
あ、最後に。そんな吹けば飛ぶようなド新人の私への、荒木さんの返信はとても丁寧なものだった。
感想をTwitterなどでお寄せ下さった皆様、本当にありがとうございました。「カメオ」掲載の群像7月号は、書棚を8月号に譲りますが、また今後、「カメオ」を読んでTwitterなどで感想頂けたらとても嬉しいです。「おい、松永、つまんねーぞ」でも、もちろんOKです(^_^)
また次作も読んでいただければ嬉しいです。ありがとうございました。m(_ _)m
(2021.0710追記)ダミアンさんがnoteで『カメオ』について書いてくれました。嬉泣。
群像新人文学賞優秀作『カメオ』について書きました。推しの一作ですので、広めていきたい。
— ダミアン (@666_Damien0) July 3, 2021
愛おしい『カメオ』|ダミアン @666_Damien0 #note #読書感想文 https://t.co/nFjaLeGjoi