067 格闘する2月。文才について。

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2026年がはじまってひと月と少し、激務で。締切などいろいろに追われている。

ということで、今、こんな感じ。物を書くことには終わりがなくて、出来たと思っても、永遠に推敲できてしまう。といっても同じ文章ばかりを弄んでおれないので、締切というものがちゃんとあって、次、その次という具合に仕事を進めていく。もちろん初稿がなかなかキマらないこともある。が、とりあえずは書く。文字数は満たす。でもなんか違う。なんかわからんけど、違う。そうなると全く仕事が進まなくなるのだが、コレが大事。

たまに創作について話したり、教える、というかお伝えする機会をいただくけれど、「書けない時はどうしたらいいですか?」なんてご質問をいただくが、私が教えてほしい。私にも何か気の利いた解決策があるわけでなく、とにかくもう書いて、書いて、書いて、頭がおかしくなるまで書きまくる他はないと思う。あらゆるパターンを試し、脱線し、迷い込み、暴走し、墓穴を掘り、自ら窮地に追込み、そうやってかなりの遠回りをするハメになることになっても、やはり書きまくるしかない。

それもこれも、「ん、なんか違う」という感覚からはじまっていることで、しかしコレが大事。私は特に自分に文才があるとは思ってはいないけれど、もしかしたらこの自分の感覚だけは大切にしなければならないと思う。どんなに原稿が滞ったとしても(小声)

ということで2月はガシガシ書いて、慌てているが、3月。3月は毎週1回以上、何かイベントがある大忙し(ありがとうございます)

お知らせの記事はこちらから👇

https://m-k-sanzo.com/2026/02/27/「3月」松永k三蔵のおしらせ/

松永K三蔵

066 2026年 始動しつつ、去年の振り返りなど。にしても寒い1月。

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毎朝、執筆場所まで1時間ほど歩きます。

さて、あけましておめでとうございます。なんて言うタイミングはとうに過ぎ去ってしまっているけれど、去年の振り返りと今年の展望など。

昨年、11月頃より忙しくて、お知らせは月1にまとめて、この日乗(ブログ)も少しおやすみしていたが、たまにはちゃんと載せていきます。

昨年振り返って、おかげさまでいろいろやらせてもらいました。感謝。感謝。ほんと感謝。

昨年、大きな仕事としてはやはり5月のドミニカ共和国の訪問だろうか。国策としてドミニカに渡った日本人の方々の今を追った。日本の中南米諸国への移民の歴史は100年を超える。そしてドミニカ共和国は今年で70年の節目を迎える。中南米の移民史の中でもドミニカ共和国への移住には非常な困難な歴史だ。これについてはまたJICAを通じて書いたものを発表させてただく。

ドミニカ共和国のアーティストの方々と

それから、NHK BS「ヤマたび!」の収録と出演。約一週間山に入り、収録した。これもおもしろい経験だった。

山岳ガイドの成田賢二さんと

それから講演をよくさせていただいた。多くのお声がけ本当にありがとうございました。都合20回ほどの講演、講義をさせていただいた。※「講演・メディア」参照

いばらきBOOKフェスティバル

ラジオやイベントで「山カフェ」マスターこと石丸謙二郎さんや、あの石川直樹さんとお会いできたのは思い出深い。

石川直樹 写真展 対談イベント
NHKラジオ 山カフェ

他にも、あ、しんめいPさんとの対談イベントとか、ほんとあげればキリが無いけれど、本当に感謝。


ということで今年。2026年。タイトルイラストの通り、毎朝仕事場所に通勤している。書いている。書きまくっています。今年は短編含めていくつか小説を発表します。

そして早くも講演やらイベントやら、いろいろお声がけいただいている。サイトの表の「講演•メディア」から「イベント一覧」や「講演一覧」をご参照、、、と言ってもご覧にならない方もいるだろうから、スクショを貼っておく。まだ詳細公開前のもありますが、こんな感じです。

また、XやInstagramやサイトでお知らせするので、チェックしてみてください。

それでは皆さん、めちゃくちゃ寒い日が続きますが、お互いがんばっていきましょう!

松永K三蔵

065 11/9 いばらき読書フェスティバル(茨城県立図書館)講演会やります! 茨城県初!(お知らせ×日乗)

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茨城県のみなさん。いばらき大使の松永K三蔵です。お待たせしました。そしてありがとうございます! ついに「いばらき読書フェスティバル」に呼んでいただきました。

大学ビブリオバトルや一箱古本市、こどもおはなし会、などイベント盛りだくさん。

こう言うイベントはほんと楽しいので、ぜひ行ってみてほしい。

そして14時からは私の講演会をさせていただく。

【オモロイ純文運動 『バリ山行』執筆ウラ話】

参加無料! サイン会あり。

オシャレでかっこいいチラシだ。

そして

会場の茨城県立図書館は素晴らしい建物。あの星乃珈琲店さんとコラボしている。たのしみ。

星乃珈琲店は絶対行く。

それでは皆さま

よろしくお願いします。

松永K三蔵

064【速報】ひょうご本大賞2025『カメオ』受賞‼️そして10/25 14時から兵庫県立図書館にて受賞記念講演会やります。無料。(お知らせ×日乗)

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緊急で動画、、、じゃないが、サイト更新している。

私の『カメオ』がなんと、ひょうご本大賞2025に選ばれた!

これは皆さんからの投票によって決まる。ガチンコの読者投票だ。投票くださった皆さん、ありがとうございます。

嬉しい。オモロイ純文運動を標榜する私としてはとても意味深いことだ。

喜びの「ワン」ショット。

実は表紙の犬の絵!ウェイシュエンさんの原画が我が家に飾ってあるのだ。

ウェイシュエンさんありがとう!そしておめでとう。この本の魅力の半分以上はウェイシュエンさんのおかげ。

実際に本というものはすぐに「賞味」できない。一番コスト(時間)がかかる。だから、まず目に入る装丁はほんと大切。そしてこの装丁、絶対読みたくなる。だからこの本は、装画のウェイシュエンさんから、中の物語の私へのバトンパスみたいな流れだと思う。

そんなウェイシュエンさんとの約束はこちらhttps://x.gd/03sZ9

ということで急遽10/25にひょうご本大賞記念講演会をすることに。これは困った。何を話そうか。「サラリーマンの研修のようだ」と言われるいつものパワポ芸は使えない。

『カメオ』について、これはあまり話したことごない。『カメオ』そしてやはりオモロイ純文運動について。お話しさせていただく。

松永K三蔵

063 第3回えべっさん古本まつり11/1(土)~5(水) 西宮神社 11/3スペシャル企画 「青空ラジオ」やります。(お知らせ×日乗)

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11/3(月・祝)トークイベント『青空ラジオ』をやる。


ゲストは林芙美子文学賞受賞の大原鉄平さん、三田文学新人賞受賞の鳥山まことさん。

お二人は私の神戸文学館の講演にも駆けつけてくださった。

話す内容は今ねっている。

盛り上がる内容にしたい。

地元西宮のえべっさん古本まつり。

昨年も、その前の第一回も行ったが、古本好きとしてはずっとやってほしい。

私は普通にこの古本まつりが楽しみなのだが、活字離れの今、文藝復興、オモロイ純文運動をやっている私としては、すこしでも盛り上がればと思う。

微力ながらお手伝いできることに感謝。

去年第二回の古本まつり

とにかく楽しみ。

松永K三蔵

062 没後70年 坂口安吾展「あちらこちら命がけ」県立神奈川近代文学館  公式図録にエッセイを書かせていただきました。

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2025年 10月4日から 没後70年 坂口安吾展がはじまります。県立神奈川近代文学館にて。

こちらの、裏を見てほしい。

公式図録のエッセイに寄稿させていただいた。つまり、没後70年の今、安吾について語るなら「お前もそのひとりだ」と言っていただいたことになる。

感極まれり。だ。10代の頃、やっぱり同じ新戯作派の太宰治からだったと思うけれど、安吾の『白痴』を手にして以来、師と仰いで二〇余年。

もちろん好きな、あるいは影響を受けた小説家は多いけれど、安吾は特別だ。

安吾のエッセイ、評論のたぐいは号泣、ガクガクと頷き顫えながら読んだ。

もう相当に私の考え、思考に安吾の「精神」が移植されている。たまにエッセイなどに私の考えなどを書いているが、ふとそれは安吾の言い換えにすぎないことを思う。私の掲げる「オモロイ純文運動」なんかも、安吾はとうに言っている。もっとシンプルに、感動に満ちた警句をもって。

文学は、いくら面白くても構はない。
ハラン重畳、手に汗をにぎらせ、溜息をつかせても、結構だ。
そういふことによって文学の本質が変化することはない(以下略) 
「通俗と変貌と」
小説は、たかゞ商品ではないか。そして、商品に徹した魂のみが、又、小説は商品ではないと言ひきることもできるのである。
「大阪の反逆」

安吾は私にとって特別。

語りはじめると止まらないけれど、この人の存在は文学史的にも非常に特異だ。日本の文学史の枠の中で理解することは少し難しい人だと思う。

デカいのだ。

とにかく安吾はデカい。

松永K三蔵

061 2025年度 神戸市文化奨励賞をいただきました。感謝。(お知らせ×日乗)

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ありがとうございます。神戸市さま。

文化賞って何?という方は下記の説明を。

「説明

神戸市では、「豊かな文化と芸術」のまちづくりを進めるため、本市の文化の発展に貢献された個人や団体に「神戸市文化賞」、「神戸市文化奨励賞」及び「神戸市文化活動功労賞」を贈呈しております。」

というわけで2025年度の文化芸術奨励賞に選んでいただきました。

ニッコリ、とても嬉しい。

文化奨励賞はバレエダンサーの堤悠輔さんと。堤さんの立派な実績に比べると私のは……。数度のリストラ危機に云々。どんな実績やねんと。まぁしかし私は文士だから、こういうのでいいのだ。

ちなみに堤さんはさすがダンサー。すらりと手足が長くピンと背筋が伸びていらした。こちらがジャガイモになった気分。ジャガイモの気持ちを理解した。いつか「ダンサーと馬鈴薯」でも書くか。

贈呈式は神戸県庁の裏、相楽園にて行われた。素晴らしいお庭。

が、すまん。庭の写真はない。撮るのを忘れた。

申し訳ないッ!

ということで、おっさんのファッションには別に興味はなかろうが、ファッションチェック。

神戸タータンのハンカチを胸に。

それから、これは神戸港紋章のバッチです。

ちなみにこれらは芥川賞の贈呈式にも着用していたんだが、誰にも気づかれず。(見えないか)

今回はさすが神戸のみなさん、気づいていただきました。

好きです、神戸。

神戸。結構長く働いた街。

神戸市役所の一階でたまに休憩していた。

なんか不思議な感じ。

ついでに、帰りに居留地のパタゴニアとモンベルに寄ったのだった。

(写真は昨年)

松永K三蔵

060 日立市立松風中学校 校歌の作詞させていただくことになりました。(お知らせ✖︎日乗)

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作詞をさせていただくことになった。

故郷、茨城県日立市の中学校の校歌の作詞をすることになった。学校の再編で坂本中学校と久慈中学校が合併し、新たに「松風中学校」が誕生した。その校歌の作詞。

最初にお話をいただいた時、実は躊躇した。私のような者が校歌の作詞などをして良いのだろうか……。

それに、小説は30年書いてきたが、作詞はしたことがない。同じ言葉だけれども。

しかしよく聞けば、在校生徒のみなさんや地域の方が歌詞の言葉の案を出してくださるという。そうか、一緒に作らせてもらえばいいのだ。そう思った。……皆さんの言葉を繋ぐ裏方であれば。

それに、まだまだ未熟者の私ではあるが、いずれ作詞として私の名前を喜んでいただけるように、自分へのプレッシャー、戒めとしてお受けしよう。そうも思った。

なんのポーズやねん

今月の初旬、改めて日立市を訪れ、日立市の各所をご案内いただいた。

風神山から。

最初は霧がかっていたが、風神さんの像をお参りしてもどると奇跡の快晴に。

そして旧坂本中学校

強く、正しく、美しく!

まだ生徒たちの声が聴こえてきそうです。

そして旧久慈中学校に。(現 松風中学校)

三蔵じいちゃん。見てますか? (私の筆名の三蔵は祖父から)「三蔵」の名前が日立の松風中学校に記されますよ。

と、見ると旧久慈中学校の校歌を作詞をされたのは川崎三蔵さん。名前というのは不思議だ……。こんな巡り合わせがあるのだろうか。

思い出の久慈浜。私も毎年ここで泳いだ。海といえばここ。私の海はここにしかない。

久慈浜の灯台。

そして青春時代の彷徨いの中、偶然見つけた啄木の歌碑。「何事も思ふことなく いそがしく 暮らせし一日を忘れじと思ふ」

祖父の家(現 叔父の家)の近所にある泉が森

幼い頃、よく祖父と泉の水を瓶に汲みに行き、私はその水を祖父とともに飲んでいた。(当時はOKでした)

私の身体にはこの泉の水が流れている。

翌朝、また浜辺から曇り空の久慈浜を見て思う。

この海だ。母と、兄と親しんだ海。波に巻かれて死にかけた海。私の全身をつつみ偉大な力で持ち上げて押し流し、大きな存在を感じさせてくれた海。

「遊泳禁止」波が荒く濃霧のこの日はそう表示がしてあった。

浜辺で遊ぶ海水浴客。

私はどうしても波に巻かれて思い出したかった。あの海を。波を。そしてこれは大事の前の、私の斎戒沐浴になるだろう。

するとまさかの「注意して遊泳ならオッケー」というアナウンス。

行くしかない。濡れたハーフパンツは歩いていれば乾くだろう。45歳。おっさん。ひとり波に向かって駆け出した。中学生らしい男の子たち四人が歓声をあげながら追ってくる。私も勝手にその中の一員になって波に飛び込む。

ドッという波の圧、力、水飛沫。舌を出して汐を舐める。盛り上がる波の山を超えて沖に向かう。巨大に立ち上がる波の懐に潜り込む。トクトクと音が消えて海に呑まれる。

あぁ、何も、あれから数十年経ったが何も変わらないのだと、私は気が遠くなるようにそう思う。

もしかすると、私もあの頃から何も変わらないのかも知れない。そんなことを考えながら「やばい!やばい!」を連呼する中学生の“ともだち”の声を聴きながら、一時間近く私は波の中で遊んだ。

おまけ

いつも大変お世話になっている日立市立南部図書館にもご案内いただきました。

👆オモロイ図書館運動🔥

松永K三蔵コーナーが二つも。大感謝。

ご案内いただきました教育委員会の皆様、松風中学校の校長先生、教職員の皆さま本当にありがとうございました。

一緒に良いものをつくりましょう!

松永K三蔵

059 オモロイ純文運動Tシャツなど発売開始 就労継続支援B型BaseCampさん提供 お知らせ×日乗

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世界的にも注目をあびた「オモロイ純文運動」Tシャツが一般販売開始です‼️

ドミニカ共和国🇩🇴の書店にて

この度、就労継続支援B型BaseCampさんご協力を得まして、オモロイ純文運動Tシャツ及びその他グッズの販売を開始します。

まずは7.26の東京でのBaseCampさんとのコラボイベントでの対面販売から。

日立市のキャクターひたりんも着てる。
カラー展開もあり。
オリジナルは黒
フォーマルには白

こちらの物販の収益は就労継続支援B型BaseCampで働く皆さんのお給料になるので、よろしくお願いします!

今後、オモロイ純文運動グッズなど、通販も対応予定です。

松永K三蔵

058 姫路文学館 特別展 没後10年 作家車谷長吉展 私だけの車谷さん、の「な」

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姫路文学館の「特別展 没後10年 作家 車谷長吉展」が終わった。約二ヶ月間。お疲れ様でした。とても素晴らしい展示会だった。

全国各地から駆けつけたファン、現役の小説家の先生たち。改めて車谷長吉の仕事の大きさを痛感させられた。今なお、その影響は大きいのだ。

かなりお久しぶりにイラストを(汗)

今はSNSでこの車谷展に行った方の感想が見られる。すると、気づくのはそれぞれにかなり思い入れが強いということだ。

まず、回顧展をできるほどの作家は多くはない。そして没後もファンを惹きつける作家もまた多くはない。本人が「反時代的」と言ったように、時流に乗ることはく、淡々と車谷スタイルを貫き通した。その独自性を今なお読者それぞれが大切に温めているような格好だろうか。今回、各地に潜在していた車谷ファンが没後10年を機に姫路に集まった感があった。

そして私もそうだ。2007年。あの時はまだご存命だったが、私はやはり姫路文学館で行われた車谷長吉展に行ったのだった。私の中で車谷長吉さんは一番会いたくて、また一番会いたくない作家だった。

やはり、怖い。私などは臆病なのですぐにペラペラと喋る。おそらく車谷長吉さんはじっとそれを聞き、寸鉄ひと言で、私の舌を釘で刺すように黙らせただろう。そうして、下手をすればどこかのエッセイで名指しで怒られかねない。ふざけた筆名の新人の訪問をうけたが、これがまた商人のように卑屈な男であった……云々。が、やはりお会いしたかった。残念ながら私のデビューは車谷長吉さんがご存命中には間に合わなかった。

それでも縁あって、まさか車谷長吉展の開会式の末席に加えていただき、まさか奥様の高橋順子さんとお会いでき、車谷長吉先生の御仏前にと拙著をお渡しさせていただけるとは。人生はわからない。

私が手にしているのは新旧の図録

ファンが怖い、と言われる作家がいる。つまりその作家のファンは、作家に心酔するあまり、熱狂的なのだ。作家とファンの精神的結びつき(もちろん読むという一方通行ではあるが)が強烈で、うっかりそのファンに、あ、私も好きなんですよ、と同好のよしみを求めて安易に声をかけると、「お前になにがわかる!」とやられるわけだ。太宰や中上健次などはその代表例だろう。私もふたりとも好きだが、公言するのは憚れるところがあるのは、そんな理由からだ。そしてもしかすると車谷長吉もそのひとりかも知れない。

車谷さん家の朝食(和食ではないのだ)

X(Twitter)などで反応を見ていると、皆さんかなり思い入れが強い。それぞれに“私だけの車谷”があるように思う。そしてそれは小説家もだ。文章を寄せておられる万城目学さんはもとより、吉村萬壱さんなど。実際に来館されておられた。

私も私で、尼崎市立図書館でお話しをさせてもらった際には『漂流物』を紹介した。車谷長吉さんが直木三十五賞を取られた『赤目四十八瀧心中未遂』の舞台は尼崎だから、というのもあったの、私の「漂流時代」はまさに尼崎だったからだ。

そして共同通信の読書日和にも『漂流物』を紹介させていただいた。※Kはミドルネームです。

尼崎の地場の不動産屋で働きながら小説を書き、私はその間、車谷長吉の『漂流物』を鞄に入れていた。私だけの車谷さん。「わかってたまるか」と念じながら。

2007年の車谷長吉展。姫路駅から歩いて行った。あれから18年。やはり姫路駅から歩いて行く。仕事も散々変わり、結婚して、犬を飼ったり、子どもができたりいろいろあって2025年、再びの車谷長吉展。私にとっても節目だ。

車谷長吉さんについては言いたいことはいろいろある。でも今回の「車谷長吉展」のキャッチコピー「生きることはむごいな」について。車谷さんらしいな、と思う。素晴らしいコピーだと思った。

読者の人は「らしい」と思うだろうし、そうでな人にも何か心に響く言葉ではないだろうか。

何故だろう。「生きることはむごいな」平生、誰も口にはしないけれど、全くその通りだから。それがこの世の中であり、だから我々は疑問を持ち、求めるように何かを読み、また車谷さんや私は小説を書くのだけれど、私はこの「な」こそが車谷さんの魅力だと思う。

「生きることはむごい」。こう言ってしまえば、それもやはりその通りで、しかしもはや救いはなく、なんとも味気ない漠々たる荒野のようなその言葉にはなんの魅力もないが、「生きることはむごいな」の「な」の一語に車谷さんの無限の優しさが詰まっていて、それが今なお読者をひきつけるのだ。「むごいな」という車谷さんは「むごさ」を引き受けながら他者とともに立つ。だから書く。それこそが“風呂桶に釣竿を垂らし続けた”車谷さんの文学であり、本物の文学なのだ。

松永K三蔵